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アリスは青ざめた。これはホワイトにこの状況がなんでこうなってしまったのかを彼に分かるようにきちんと説明しない限り、教育と書いて地獄と読むお説教ルートに行くことは間違いない。
彼女はゴクリっと唾を飲み込むと、大きく深呼吸をした。
まず、相手に状況を説明するときには自分の気持ちを落ち着けることが重要だ。その場の感情に流されて話すと伝えたいことが半分も伝わらない。ここでは話す前に、客観的にこの状況になるまで何があったのか思い返してみる。そうすることで、落ち着くこともできるし、同時に話す内容も考えられるのだ。
その間にもホワイトは、今か今かと足をこつこつ鳴らしながら待っていた。その顔には笑みがあるが、背後には怖い鬼のスタンドがいるように見える。まさにこの状況は蛇ににらまれた蛙状態だ。
アリスはおそるおそる口を開いた。
「あのね、最初はホワイトに言われたとおりに課題をやっていたの。でも、途中からつまらなくて」
「それでどうしたのですか?」
「空を見たの。良い天気だなって。それから窓を開けたの。そうしたら勉強できるかなって。それで気がついたら、こうなってた……」
アリスは間違えたことや嘘は話していないと思った。自分の話したことは事実をありのまま伝えただけなのだから。しかし、目の前のホワイトも微笑んだままだ。何故か、窓は閉めたはずなのに、どんどん部屋が寒く感じ、彼の背後の鬼が自分に向かって包丁を投げてきそうな気配がしたのは気のせいだと思ったのだ。
「アリス、君の説明はよくわかりました。貴方がわざとやったわけではないのも分かります。ですが、僕にはあなたが勉強をサボって、空を見て窓を開けた結果こうなったと聞こえました。休憩が必要ないとは言いません。しかし、サボりはよくないですよね。これはアリスを立派なレディにするためなんです。分かってくださいね? 心配しなくても大丈夫です。僕が分かってくれるまで何回も説明しますから」
その後、アリスとホワイトの勉強という名の教育指導は夕食前まで続いた。全てが終わったあと、彼女がへとへとになって動けなくなったのはいうまでもない。
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