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ダブルベッドの上で目覚めた。
少しボヤける目で隣を見れば、開いたカーテンから入ってくる薄暗いネオンライトに照らされて暗闇の中にほんのり黒が見える。
頭を抱えて前のめりになっているその人の肌に指先だけで触れると体が小さく跳ねた。
指先から伝わってきたのは驚きだけじゃなく、もっと色んな物が混ざった感情。
寝転がったままヘッドライトをつけると、その人の横顔は後悔をする1人の男だった。
「どうしたの?」
少しの肌寒さに布団を肩まで上げる。
どうしたの、なんて聞かなくても何を思っているのかくらいは普通にわかるのに聞いた。
彼があまりにも可哀想に見えたから。
「……こんな事、しなければよかった」
ベッドに座って寝転がったままのわたしを悲痛の顔で見下ろしながら、その男は言った。
今更、後悔するなんて馬鹿馬鹿しい。
「君は社長の妹じゃないか」
「それがどうしたの」
「社長は君を溺愛している。こんな事をしたのがバレたら俺はクビだ。最悪だ。妻になんて言おう……」
「バレなきゃいいんでしょう」
薄い布団から浮き出る体のラインを意識しながら、ゆっくりと起き上がる。
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