11人が本棚に入れています
本棚に追加
「…?はい」
窓の外を見ていた女の人がこっちを向いた。
必死に繕って、私は話をする。
周りに護衛が付いてるからって、安全とは限らない。自分は自分で制御しないと。
命を奪うなんて絶対にしたくない…けれど、まだまだ制御しきれないのだ。
ましてやこんな、甘い匂い…。
「あ、の、お一人で、旅行…ですか?」
何気なく尋ねてみる。
すると女の人はニコリと微笑んだ。
「ホームステイするんです。今からそこへ行く途中で。本当、一人で大丈夫か、なんて友達や叔父さんに言われたのだけど、ちょっと、一人で旅したくて。」
清々しい笑顔。
何だか羨ましい。
愛されてる。この人は私と違って、とても愛されている。そして友達も沢山。
「…羨ましいです」
「…え?」
「いえ…」
甘い匂い。
でもダメ、この人を食べてはいけない。
「そうだ、名前!私の名前は葛木亜莉子。うーんそうね、アリスって呼んで。私のあだ名なの。」
「…アリス…私は、レナ…レナ・タウンゼント。隣の人は、私の使用人であり先生のアーウィン・ノルティ。」
アリスはどうもとお辞儀をする。
アーウィンもコクリとお辞儀をし、直ぐに目線を外した。
最初のコメントを投稿しよう!