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私は少し、目を瞑る。
ダメよ、ダメ、今日は買い物へ来ただけなんだから。食事しに来たわけじゃない!
自分に言い聞かせて、拳を強く握った。
「レナ…」
「…大丈夫、大丈夫よアーウィン」
ゆっくりと目を開ければ、目の前でアリスはコクリコクリと眠そうにしていた。
「…アリス?」
「…、あ、ごめんなさい、ちょっと、疲れてて…」
「いいのよ、今は夜だし、アリスは眠いでしょ?夜に眠いのは必然的な事よ…疲れたのなら尚更…」
「…ありがとう、少し寝かせてもらうわ。あの、駅に付いたら起こして貰えないかな?レナ」
「…うん。起こすよ。」
笑えば笑ってくれる。
普通の人間と話したのなんていつぶりだろう。
こんな夜中に、アリスは今まで何をしていたんだろう。
「……」
不意に香ってくる良い匂い。
美味しそうな、匂い。
「アーウィン…お腹空いたな…」
「……」
見ればアーウィンも、隣で目を瞑っている。
この空腹を我慢しているのか、匂いに気付かないようにしているのか…。
眉を寄せ苦しそうだ。
アーウィンも感じたのかな、この子が、アリスがとても美味しそうだという事。
ああダメ、もう我慢できない。
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