電車

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人じゃ、ない? 「あなた達も、吸血鬼なの?」 『違うよ僕は猫だよ。』 『私は女王よ。』 …。今一、よく分からないのだけど。 すると突然電車内で聞こえたアナウンスにハッとなった。 『あら、もう付くのね、なら私は戻るわ』 「!」 アーウィンの舌が所在なさげに揺れた。 もうそこに金髪の女の人の姿はなく、私達は目を丸くする。 「…あなたは、帰らなくていいの?」 『帰らなくていいんだよ。』 ニンマリ笑顔からは何も読み取れない上に、不気味だ。 「んーーー!…レナ…付いたぁ?…ん!?」 伸びをして目を開けたアリスは隣にいる人物を見て目を丸く見開いた。 「…チェシャ猫…?」 『なんだい、アリス』 「…何でいるの…」 『心配だからだよ』 「…あの…レナ、アーウィンさん、…チェシャ猫、見えてます?」 問われ、素直に頷いた。 頷いてしまった。 瞬間アリスはあはは、と笑いながらチェシャ猫、と呼んだ人物に小言を言う。 「あれほど出てきちゃダメって言ったのに!」 『でもアリス』 「でもじゃない!」 『……。』 なんだか可哀想だと思えた。 その原因は私にあるのだけれど…。
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