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外へ出たアリスを見た時、もうその白ウサギはいなかった。
いつまでも手を振るアリスに私も振って、ガタンゴトン、電車は走り出した。
「アーウィン、アリスにまた会えるかな…」
「さあ、どうでしょう。しかし、とても興味深い。」
外はとても暗い。
私達にはハッキリと景色が映るけれど、アリスには暗闇でしかない。
この暗闇の中、アリスは一人で歩いているのだろうか。
いや違うわね。
不思議な人達と。
アリスは笑いながら歩いているんじゃないかな。
「レナ、次の駅が私達の下りる駅ですよ。」
「ええ。」
鬱蒼と生い茂る森の道。
闇よりも深く、差し込む月の光はよりいっそう闇を濃くする。
外を眺めていれば、ガタンと音を立て揺れ止まる電車に私達は席を立った。
「よおレナ、待ちくたびれたぜ」
「フレディ!?何でいるの!?」
「ちょっとな、用事を済ませてた。」
「行くぞ」
「おいおいアーウィン、なんか素っ気なくないか?」
ははっと笑いながら、私達も闇へ行く。
これからどんな事があろうと、私達もまた進まなければならない。
どんなに過酷な事があろうと、歩みを止めてはならない。
END.
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