電車

9/10
前へ
/10ページ
次へ
外へ出たアリスを見た時、もうその白ウサギはいなかった。 いつまでも手を振るアリスに私も振って、ガタンゴトン、電車は走り出した。 「アーウィン、アリスにまた会えるかな…」 「さあ、どうでしょう。しかし、とても興味深い。」 外はとても暗い。 私達にはハッキリと景色が映るけれど、アリスには暗闇でしかない。 この暗闇の中、アリスは一人で歩いているのだろうか。 いや違うわね。 不思議な人達と。 アリスは笑いながら歩いているんじゃないかな。 「レナ、次の駅が私達の下りる駅ですよ。」 「ええ。」 鬱蒼と生い茂る森の道。 闇よりも深く、差し込む月の光はよりいっそう闇を濃くする。 外を眺めていれば、ガタンと音を立て揺れ止まる電車に私達は席を立った。 「よおレナ、待ちくたびれたぜ」 「フレディ!?何でいるの!?」 「ちょっとな、用事を済ませてた。」 「行くぞ」 「おいおいアーウィン、なんか素っ気なくないか?」 ははっと笑いながら、私達も闇へ行く。 これからどんな事があろうと、私達もまた進まなければならない。 どんなに過酷な事があろうと、歩みを止めてはならない。 END. あとがき→
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加