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今日は色々あった。
家は燃えるし、橋でしか会ったことがない颯月さんと共同生活することになるし…
湯船に浸かりながら小春はぼんやりと考える。
颯月と出会ったのは1年前の春だった。
小春は川を眺めるのが好きなのと、誰もいない家に帰るのがつまらなくて、よくアパートに帰る途中にあの橋の手すりに腰掛けて川を見ていた。
「そんなとこに腰掛けてたら落ちますよ」
会社帰りなのだろう。
スーツ姿で小春に声をかけてきたのが颯月だった。
それ以来、彼はちょくちょく声をかけてきた。
やがて小春も打ち解けて彼と他愛もない会話をするのが楽しくなってきた。
お互い、必要以上には相手に踏み込まなかった。
家の場所は方角くらいしか知らないし、会社名や学校名などもお互い知らなかった。
そんなあやふやな情報しか知らなかったが、不思議と小春は颯月とのこれからの共同生活に不安は無かった。
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