共同生活の始まり

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「小春ちゃん!小春ちゃん!」 「あ…大家さん…アパートが…」 「そうなのよぉ、どうやら202号室の田中さん家から出火したらしくてねぇ。 幸い怪我人はいないみたいだから良かったけど、住民の皆さんには引っ越してもらうことになるわね。 ごめんなさいねぇ、あなた1人暮らしだったわよね? これから先大丈夫?」 そうだ。これから先どうしよう…。 両親はニューヨークにいるし、近くに親戚もいない。 手元にはギターと学校の鞄しかない。 服も無い…家具も無い… 住む場所だって無い… あああぁぁ………。 しかし、このままここにいても何も変わらない。 とにかく今日住む場所を探さなくてはならない。 「こ、小春ちゃん!?」 顔を真っ青にし、ふらふらとその場から立ち去ろうとする小春に心配そうに大家さんが声をかけるが、頭が真っ白になった彼女の耳には届かない。 .
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