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颯月の後に続いて部屋に入ると、黒で統一されたシンプルな広いリビングとダイニングキッチンが目に飛び込んでくる。
「とりあえずそこ座って下さい」
「は、はい…」
「コーヒー飲めます?」
「はい…」
小春をソファーに座らせると、颯月はキッチンでお湯を沸かし始めた。
「ほ、本当にすみません。明日朝一で出て行きますから!」
小春が申し訳なさそうに颯月に謝ると、コーヒーを小春に渡しながら颯月がしれっと答えた。
「いや、ここに住んでいいですよ」
思わず受け取ったコップをひっくり返しそうになる。
「小春さんたしか高校3年生でしたよね?
じゃあ高校卒業までここに住みなさい。
これから家を探して服や家具を揃えてたらお金がかかるでしょう。
ここなら家具もありますし、家賃だって折半にすればお互い得ですよね?
君が家事をしてくれたら僕も助かります」
たしかに彼の言う通り、ここなら以前よりもお金はかからないし、セキュリティー面でも安心である。
仕事の関係でニューヨークに住んでいる両親からの仕送りはあるが、大学進学を考えている彼女は出来るだけそのお金を使いたく無かった。
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