56人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンタ、色恋に疎いだろ?」
「色恋など…っ破廉恥でござる…!///」
「ah…pure boyか…」
某に南蛮語は解らぬ。
「じゃあ、アンタの事が好きって奴がいても気付かねぇ訳か…」
「…申し訳御座らぬ…」
「何で謝んだよ…」
振られたみてぇで余計shockじゃねぇか…と、彼は呟く。
某はそれを聞き逃さなかった。
…今、何と…?
「伊達殿は……某の事を…」
「さて、俺先に湯浴みしてくるわ。」
某の言葉を遮り、彼は立ち上って部屋から出て行った。
…政宗殿が…
体が熱い…動悸がする…某は…
「…政宗殿…」
徐に彼が腰掛けていた枠に手を触れる。
それから随分の時が流れていたのか、彼が戻ってきた事に気が付かなかった。
「…煽らせるなよ…」
「ぃ…っ?!//////」
不覚にも耳元で囁かれ、思わず奇声を発してしまった。
「意外とイイ反応するじゃねぇかw」
「ふ、不意打ちなど卑怯でござるっ!」
某の負け惜しみなど聞く耳持たず、彼は愉しそうに笑う。
気が付けば、某は彼の腕の中にいた。
「だ、伊達殿…お戯れは止めて下され…」
「ah?」
「…貴殿は男で…某も男でござる…」
「当たり前だ。」
「こんなの…」
「おかしい?気持ち悪い?」
向かい合う形になり、真っ直ぐな目で見つめてくる彼を直視できない。
顔を伏せていると、頬を両手で挟まれて目と目を合わされた。
「幸村…好きだ。どんなに美しい女より、俺はアンタが好きだ。」
視線を外す事を一瞬たりとも許させない。
彼は本気だ。
すき…
日頃から彼の事が頭から離れず、胸が苦しくなる症状…あれをずっと某は病だと思っていた…
…そうか、これが…
「某…も…」
「An?」
恋、か。
「某も…伊達殿を、ずっとお慕いしておりました…!」
「…幸村…」
一方的だと思っていた。
男同士など、有り得ぬと思いながらも
やはり、自分の気持ちに嘘を吐く事はできない。
「…政宗、だ。」
「ま…政宗殿…!」
「幸村…!」
自ら彼の背中に腕を回した。
すると優しく包み込む様に抱きしめられる。
彼の体温…
彼の鼓動…
彼の匂い…
全て某を満たしてくれる様で、とても愛おしく感じた。
暫くして彼は某を再び真っ直ぐに見つめてきた。
切れ長の鋭い眼…隻眼ながらも力強く、月色の瞳は確かに某の姿を捉える。
眩しくて目を閉じると、唇に柔らかい感触。
「…ん…っ」
最初のコメントを投稿しよう!