現実世界 1 ある日の夜

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そこには楕円形のテーブルと作業机が二つある。一人のナースが立ち上がり、紙コップを取った。 「お疲れ様でした。いつものでよろしいですか? 先生」 「いや、今日はカフェモカでお願いします。オリジナルコーヒーはもう飲み飽きちゃったわ。次は何の豆にしようかなぁ。」 ナースは呆れつつ、コーヒーメイカーの横にある、使い切りのカフェモカの粉を取り出した。 「コーヒーに関しては相変わらずの飽き症ですね。勝手に豆を購入しては作って、飽きたら次はいつ作る事やら。いい加減、豆を潰して下さいよ」 台所の横隅にコーヒー豆が入った麻袋が複数あった。私はあえて無視をしてテーブルに向かった。 道子さんが温めた牛乳で粉を溶かしている間、私は椅子に座り、今日のカルテの整理をしていた。午前と午後合わせて12件はいつもよりちょっと少ないかなぁと思いつつ私はカルテを見ていた。 「今日の患者さんはどうでしたか?どうぞ」 カフェモカを貰い、私は息をかけながら飲んだ。熱すぎのはどうも苦手だ。 「う~ん、意外とみんな悪くなかったですよ。昔は更正させるのにかなり時間かかったんだけどなぁ…」 道子さんもコーヒーを入れ、椅子に座る。カーディガンを羽織り、かなり落ち着いた雰囲気をだす。
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