現実世界 1 ある日の夜

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午後11時30分 私は3ヶ月後に行われる学会の論文を書いていた。今だに内容が決められず、パソコンと悪戦苦闘な毎日を繰り広げられていた。大体この時間帯から眠気が出始め、集中力が散漫になってくる。 「あ~!! もぅ!」 やり切れなくなった私は背もたれに寄り掛かり、上を見上げた。天井を見るとなぜか私はアスベストを思い出した。ある人の記憶で天井のアスベスト駆除をやっていた記憶があったからだ。 -毎日のアスベスト駆除、なぜオレはこんな事をしているんだ。自分がもうわからない 結局、その人は今どうなったのかはわからない。その記憶は随分、前の記憶だったし、人とぶつかった際に頭の中によぎったのだ。いわば偶然の産物である。 帰り仕度をしていた道子さんが私に、帰りについての問い掛けてきた。 「今日は何時ぐらいまでいるんですか?さっきもいいましたが、無理はしないで下さいね」 「ありがとうございます。もうちょっとしたら帰りますから先に上がって下さい」 「わかりました。お疲れ様です」 道子さんは診察室を後にし、帰っていった。 私はこのやっかいな論文と再戦した。
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