現実世界 1 ある日の夜

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「時間が…あまり時間がないんです」 やっぱり否定されたか。私はため息をついて、反論をし始めた。 「時間がないっていわれても、現に診察時間は終わってますし……何せ準備するのに時間がかかりますから。ていうかあなた、警備員に止められませんでしたか?」 この病院の入口・裏口に監視カメラが設置しており、その映った監視カメラを見る警備員がいる。前の一件があって以来、防犯強化が行われたのだ。なので夜中の患者はまるっきりいなくなったのだが…… 「さぁ……。その人達については全く知りません。中に入って、そのまま、あなたの所に来ましたから」 そんな事はありえない。隠し通路とか抜け道が無い限り、あの監視カメラに引っ掛かるからだ。もちろん、そんな物は存在しない。多分であるが…… 私はまた疑問を抱えつつ、会話を続けた。 「とにかく、今日の診察はもう終わっているので明日いらして下さい。朝の10時から受付が始めるのでその時に…」 「そうですか……。千歳先生はもう少し物分かりが良い方だと思っていましたが…」 ドア越しの人が話終わった後、私の横に何かが通った。それは診察室の空気と雰囲気の2つの気を切り裂いた。 弾丸だった。
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