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俺の言葉に頷いた市古は、口を真一文字に結んでデスクに戻って行った。
「相変わらず厳しいなぁ、保田は」
隣で同期の森村(もりむら)が苦笑しながら呟いた。
「あん? んな事ねーよ。毎回言ってんだ。アイツが悪い」
「それでも、もう少し言い方っってもんがあるだろ?」
ねぇ? と市古に振る。
相変わらず森村は女に甘い。
つか、そう言うなら教育係を変われっつの。
「わ、わたしは大丈夫ですから」
俺と森村を交互に見て慌てる市古。
「だとよ。それに、できねーモンをやらせたりしねーよ。お前も仕事しろ」
身を乗り出す森村を押し退けて、パソコンと向き合った。
一瞬だけ、何気なしに市古に目を向けると、真剣すぎる表情に自然と口元が弛んでしまった。
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