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「例え、此処がどんな世界であったとしても」
背負うものも受け継ぐ意志も、もう何も無いけれど。
「オレは生きていくから」
立ち直ってみせるから。
そうして。
この葛藤の中でも、白やら黒やらの世界の中でもオレが笑って生きていたのなら。
いつかお前に知らせるよ。
「…またな、フレン」
彼を、許してしまった。同じ悲しみや苦しみを背負ったまま、居なくなる事を。
いつ何処で癒されるかもしれない、此処に居れば忘れられるかもしれない傷を、彼は背負い切る事を決めてしまった。
朝になる。本日限りでこの町から僕らは居なくなる。小高い丘から向こうを見渡してみても、君は見えない。でも。
「ユーリ」
呼んでみると虚しく響く君の名も、何だか遠くはない気がするのだ。
何故に行ってしまったのか。
君が、君の思う様に生きて行きたいというのは賛成出来る。喜んで送り出せる。元々、君に騎士団は似合わなかった。正義感は強かったが。
ああそうか。
だから騎士団は君に合わなかったのか。
「けれど、君自身を貫くという事は、孤独とも言うんだ」
分かり切っているのだろう。
けれど。
君の言った正しさや間違いの混濁は、世の中では永遠と繰り返されるものだろう。きっと、果てしなく君に付いて回る。だから君は無茶をする。長年一緒に居たんだからそれ位は分かる。
今日は、天気が悪いらしい。
もしも君が悩み、苦しみ、傷付いた時は。
「また、名前を呼ぶから」
余計なお世話だと怒るかもしれないけど。
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