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「もうすぐクリスマスだね♪」
暖房の効いた暖かい教室でお弁当を食べながら、ウキウキした表情で華乃は美歌に言った。
「そうだね…」
「んもう!美歌はクール過ぎだよ!?クリスマスなんだから、もっと明るく楽しもうよ!!」
反応の薄い美歌に華乃はズズイと詰め寄り力説したため、美歌は後ろに少しのけ反った。しかし、美歌は表情は変わらず、どうして?という気持ちが生まれたのだった。
「どうしてクリスマスを楽しむの?」
美歌は率直に自分の気持ちを口にした。全く悪気はなかった。ただ、クリスマスをどうやって楽しむのか分からないのだ。
「えっ!?美歌本気で言ってるの!?」
華乃は驚きのあまり、目をこれ以上開けないという程開いていた。
「クリスマス時期は父様と母様は毎日と言っていい程パーティーに参加しているから、お正月の新年の一宮家の総会まで会わないもの。
家には私と西脇と使用人くらいしかいないから、クリスマスを楽しむということもないから。食事や室内の飾り付けが変わるくらいよ?」
華乃は美歌の発言に目を向いた。友達になって数年になるが、美歌の家の様子はあまり分からずにいたのだった。
淡々と言う美歌は本当にクリスマスに無頓着のようで、その裏には美歌と美歌の両親の関わりが薄いということがあると初めて分かったのだった。
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