つなげない手

であい

１５分前には駅に着いた。
相変わらずヨシさんからメールはない。

私は改札横のベンチに座り、ヨシさんを待った。

暇つぶしにケータイゲームをすると夢中になり、気が付けば１０時をまわっていた。

駅前を見回したが、ヨシさんらしき人はいない。

こりゃ、騙されたか…

とベンチに戻ると、ケータイが鳴った。
ヨシさんからのメールを受信。

『ゴメン💦事情あって今から家出るよ😵必ず行くから待っててください😞』

『わかりました😌どれくらいかかりますか？』

『んー…２０分くらいかなぁ？』

あと２０分か…
ケータイいじってたら楽勝だな。

私はまたベンチでケータイゲームをやっていた。

かれこれ３０分近く座っているせいなのか駅員の視線が痛かった。

｢あッ！｣

ゲームのちょうどいいところでメールを受信した。
きっとヨシさんだと思い、メールを開く。

『着いた😁黒のデカイやつ✨すぐわかると思うよ✌』

外を見回すと少し離れたところに黒い車が。
他に黒い車は見当たらないし、あれがヨシさんなのだろう。

私はかなり緊張気味に車に近付いた。