であい

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一歩一歩近づく度に心臓の音が大きくなる。 ドキン、ドキン… 会うことなんて慣れてるのに、なんでだろ。 ヨシさんはどんな人なんだろ。 写メも交換してない。 電話で話したこともない。 本当に28歳なのか? ものすごい変な人だったらどうしよう。 いろんなことが一気に駆け巡る。 そして私は車にたどり着いた。 助手席側に周り、窓から中を覗き込んだ。 それに気付いた男性がニコリと笑い、手招きをする。 私はドアを開け、尋ねた。 「ヨシさん?」 「ユキちゃん?乗って乗って」 そして車に乗り込む。 車内に香るココナッツの甘い匂い。 「とりあえず車出すね」 駅から離れあてのないドライブ。 地元の道なのに、まるで知らない道のような…世界が違ってみえる。 まぁ、気せいなんだけど。 「はじめましてってのは変かな?でも会うのは初めてだし。よろしくね、ユキちゃん」 「あ、はい。よろしくお願いします」 初めてヨシさんを見る。運転中の横顔。 横顔だけどとてもかっこいい。そして若く見える。 まるで芸能人。 なんだか恥ずかしくなって顔をそらす。 私は可愛くないし、完璧騙されてると思った。 「緊張しない?俺、こうゆうの初めてでさ。無口になったらゴメン」 「初めてなんですか!?」 「そうだよ?ってか驚きすぎ。ユキちゃんは…案外慣れてる?」 「まさか…何回かあるけど」 嘘ついちゃった。 ヨシさんには遊んでる軽いコって思われたくなかった。
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