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「ユキ?」
え?
今、ユキって言った?
反射的に顔を上げると、ヨシさんが微笑んでいた。
また顔が熱くなるのを感じ俯く。
「…ユキが嫌じゃなきゃ、手繋いでいい?」
私は何も言えなくて、そのまま固まっていた。
ただ、心臓が少し早く脈打つ。
「ユキ?」
ヨシさんが俯いた私の顔を覗き込んだ瞬間、一気に体温が上昇する。
顔だけじゃない、全身が熱い。
私が小さく頷くと、私の手を包み込むようにヨシさんが手を繋いだ。
指先からヨシさんの体温が伝わり、その温かさに少しほっとする。
「ユキの手、あったかい」
握る力が強くなる。
それでも私は何も言えず、繋がれた手を見つめていた。
「なんでさっきから黙ってんの?あ、もしかして…照れた??」
「違うッ」
おもいっきり顔を上げてヨシさんを睨む。
本当は照れてたんだけど、そう思われたくないから必死に否定した。
真っ赤な顔のまま。
「…ぷっ。顔真っ赤だけど?」
いたずらに笑うヨシさん。
「もう、知らないッッ」
恥ずかしさの極地。
いちいち反応してしまう自分を全部見透かされていた。
私は顔を…というか体ごと背けた。
「ユキ?」
呼ばれても無視。
「ゆきぃ~?」
無視、無視。
「ゴメンてばー、ユキ?許して」
私の肩を揺らすけど、それでも無視。
私に意地悪したから、その罰。
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