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清田美雨になったその日、清田弘幸は全ての仕事をキャンセルしてくれた。指輪とシンプルなドレスとモーニングを買いに行き、神父のいない教会で2人きりで式を挙げた。
決めごとはふたつ。
・弘幸の所有欲が冷めても婚姻は解消しない。
・美雨には恋愛の自由を認める。
私は清田との生活が守れることが嬉しかった。月々のお手当は貰わないかわりに一生涯の安定と安心を手に入れた。
そして、私が一番に欲しかったのは清田弘幸のパートナーである証。
私は所有物ではなく妻になった。
清田もまた私をきちんとした形で所有できるのが嬉しいようだった。
ディナーはとびきり値の張るホテルのレストランで食べた。
バーでお酒を嗜み、スペシャルスイートに泊まる。
そこでも清田は手を出してはこなかった。
ただ手を繋いで寄り添って眠った。それでも、はじめて一緒のベッドで眠れたのは私にとって収穫だった。
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