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パッタリ美雨が来なくなって3日が経った。
ついに、棄てられた。
原因は解っていた。依存したからだ。
良くも悪くも美雨とタケルは似たもの同士だった。ひとを愛する気持ちを知らない者同士。だからうまくいった。
混乱の序章は亜由美の気持ちだった。敢えて気づかないふりをしていた気持ち。
思い出した。タケル自身にも気持ちがあったことを。いつか、どこかに忘れてきてしまった気持ち―。
急に美雨のことを知りたくなった。抱けば抱くほどわからなくなった。
美雨はからっぽだ。
美雨もまた、心をどこかに忘れてきたような人だった。
清田弘幸の財力も彼女を満たすことはできなかったのだろう。
美雨を満たしたいと思った。美雨はそれを拒んで、来なくなった。
結果、タケルの気持ちは宙をさまよったままになってしまった。
愛
すること
この二つの単語を結びつける術を、タケルは知らなかった。
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