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日曜日は案外早くやってきた。
「せっかくのデートなんだからお弁当くらい作って持っていけば?ポイント高いんじゃない?」
と、朝からハイテンションな母。
「いいよ、ポイント稼ぎなんて。フツーに友達と遊んでくるだけだし」
とか言いつつ、今日が自身の人生初デートなのを思い知る亜由美。
タケルとの自転車旅行が人生初デートだと思いこんで、気持ちを入れ替える。
「もっと可愛い洋服着ていけばいいのに…。デートでGパンなんてありえないよ亜由美」
母はノリノリだ。
「いいの、今日はデートじゃないんだから」
私が語気荒くそう言うと、母は、
「はじめから決めつけないで、付き合うことも検討に入れてあげなさいね」
と、急に、まじめモードで言う。
検討に入れる、か。
それなら失礼じゃないかもしれない。
じっくり、ゆっくり、私らしく先輩の気持ちに向き合ってみよう。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴る。先輩が車で迎えに来てくれることになっていた。
「行ってきまーす」
と、元気に言うと、母にガッツポーズで送り出された。
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