10人が本棚に入れています
本棚に追加
湯元力良(ゆもと ちから)。
我が『桜ヶ丘高校』サッカー部のエースストライカ-だ。
すらっと背が高く、整った顔立ち。おまけに性格もいい。非の打ち所なし、というのはこの人のことを言うんだろう。
よく、『天は二物を与えず』と言うけれど、彼は二物どころか三物も四物も与えられてると思う。
そんな彼は、一般人を絵に描いたような私の幼なじみでもあり、実は心ひそかに想っている人でもある。
「どうしたの?そんな暗い顔してさ」
ニコッと微笑みながら私の顔をのぞきこむ、彼。その笑顔は韓国ドラマの主人公にも負けない優しいオーラを放っている。
「え?あ…えと…」
笑顔のオーラにどぎまぎして言葉につまる私の顔を、イタズラっぽい目で見つめながら、彼は言った。
「わかった。また補習で残されてたんでしょ」
「うっ…」
「だからいつも言ってるでしょ?僕の家においでって。1年生の勉強だったら大体教えてあげられるよ?」
「うん……」
サッカー部できつい練習をこなしながらも、学年トップクラスの成績を誇る彼。
才能に溢れすぎて、何だか私には遠い存在のようにさえ思えてくる。
最初のコメントを投稿しよう!