プロローグ ~それは傷ついた仔犬~
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『……テ…』 「?」 何か聞こえた気がして、辺りを見回す。 「どうしたの?遥ちゃん」 「力良くん…今、何も言ってないよね?」 「うん。何で?」 「ううん、何でもない。気のせいだったみたい」 「行こ!」と前を向いた途端、また聞こえてきた。 今度は、はっきりと。 『タスケテ……』 ぞぞっと背筋を寒い物が駆け抜けた。
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