プロローグ ~それは傷ついた仔犬~

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「遥ちゃん、大丈夫?」 黙りこんでしまった私を、力良くんが心配そうに見つめる。 「見えて…るの?」 力良くんは、私のこのやっかいな性質を知っている。小さい頃、よく咲枝さんのところに相談に行ってたから。 「僕にできることがあったら、言って?」 「あ…うん、大丈夫…」 『タスケテ』なんて気味悪いけど、とりあえず今のところ助けて欲しそうな「姿」は見えてない。 「もう、平気。心配してくれてありがと」 「そう、よかった」 ホッとしたような力良くんの笑顔に心癒される。 きっと、私に嫌がらせしてくれた例のお姉様達も、こんな笑顔にノックアウトされちゃったんだろう。 「じゃ、帰ろうか」 力良くんがそう言った、その時。 「キュン…クゥ~ン……」 今度は、私だけでなく、力良くんにも聞こえる声がした。
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