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今日は年に一度のお祭りだ。
村の豊作を願って村人全員が参加する。
一日中村では笛の音や太鼓が鳴り響く。
今日は私にとっても特別な日だ。
今日で私は18歳になる。
村では大人と認められるのだ。
母さんが綺麗な着物を着せてくれた。
代々織物屋をやっている喜兵衛さんのとこに行ってこの日のために頼んでくれてたみたいだ。
その着物は絹でできていて、とても肌触りが良かった。
そして、うっとりするほど美しい刺繍が全体に施されていた。
白い絹下地に真っ赤な椿の刺繍、その対照的な色合いに何度も目を奪われた。
「茉莉、良く似合っとる…綺麗だぁ…」
母さんは目に涙を浮かべていた。
私はにっこりと笑って「ありがとう」と言った。
この姿を、早くあの人に見せたい。
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