茉莉

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「あの…」 「やあ、茉莉ちゃんじゃないか!そうか、君も今年で…」 「はい、18歳です!…あ、あの…」 「ん?なんだい?」 「あの、私…実は、ずっと前から、あなたのことを…」 全て言い終わる前に境内で太鼓が強く叩かれる音がした。 それは、合図だった。 その音は、儀式の開始を知らせ、同時に私を呼んでいた。 「茉莉ちゃん、早く行かなくては…遅れてしまうよ」 私は…恥ずかしげもなく抱きついた。 目からは涙がこぼれおちる。 「茉莉ちゃん…」 「私、いきたくない!」 「でも、いかなくては…ならないんだよ」 「…ずっと、好きでした」 「…うん、ありがとう」 … そっと離れ、うつむいたまま背を向ける。 背中を押してほしい。 きっと、もう会えないから。 いきなり暖かい風が吹いたかと思ったら、何か温かいものに強く包まれた。 それが平助さんの腕の中にいるのだと気づくまでに数秒かかった。 「…平助さん?」 「待ってるから」 耳元で囁かれているせいか、少しくすぐったい。 「茉莉ちゃん、ずっと待ってるから」 「…はい」
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