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そういって茉莉ちゃんは一度も振り返ることなく歩いていき…まるで空に溶けるように消えた。
10年前のあの日、彼女は生贄になった。
村では、毎年この日が誕生日の少女に『茉莉』と名を付け、少女が18歳になった時に生贄とするのだ。
もちろん、生まれた時点で生贄として育てられるので、戸籍はない。
そして、なぜかこの日に必ず一人だけ、女の赤ん坊が産まれてくる。
まだ誰とも契りを交わすことのない、綺麗なままの少女を、正月飾りと共に天へとお焚きあげする。
天へ行って、神様に村の豊作をお願いし、身の回りのお世話をするために…
そして10年後、彼女たちは帰ってくる。
昔の思い出と共に、やり残した願いを叶えるために…
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