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そうしてやっと駅に着き、スピードを緩めること無く飛ぶようにホームへ駆け込んだ。
(間に合う…!)
いつも乗る電車のホームは階段を挟んで奥の側で、あとは階段を上って降りるだけだ。
階段を上りきったところで電車が到着する。
「まっ…待ってー!」
その叫びも虚しく、階段を降りきった瞬間発車のベルが鳴り、電車の扉が閉まった。
「そんなあ…。」
私はその場にへたりこんで呆然と電車の行ってしまった線路を眺めた。
もう諦めかけたその時、目の前に電車が現れた。
それも、私の学校がある市へ行く電車だった。
この時私は気づくべきだった
実際、この時間に電車は来るはずがなかったのに…。
私はラッキー!と思い、なんの躊躇いも疑いもなくこの電車に乗り込んだ。
中に入ると他に人は見当たらなく、ガランとしていて
とりあえず一番端の席に座る。
まるで自分一人しかこの世界にいないのではないかと思わせるほど静かだった。
いや、静かすぎる…。
何かがおかしい。
何がおかしい?
私は辺りを見渡す。
「そうだ…。」
私は違和感の訳に気がついた。
この電車、少しも音が聞こえない。
電車独特の線路を走る大きな走行音が…。
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