始まりの章

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その場に立ち上がり、もう一度辺りを見渡す。 やはり、他の乗客がいる気配はしない。 私は2車両先の先頭車両まで足早に歩いていった。 なんだか、嫌な感じがする。 首を伝う汗がかなり冷たく感じられる。 「えっ…どうして…。」 先頭車両にたどり着いてまた辺りを見渡した。 だが、やはり乗客は自分以外一人もいなく、私が驚愕したのは言うまでもない。 なぜこの電車は動いているのだろうか、私は段々怖くなってきたが、とりあえず自分自身を落ち着かせまた座席に座った。 ふと窓の外を見てみると知らない山奥。 そして走行方向を見てみると、私の顔はみるみるうちに青ざめていった。 線路がない。ついでにその先は崖になっている。 「う…うそでしょっ?!どうしよう、止めなきゃ…!」 私は青ざめた顔のまま無我夢中で運転席へ座った。 「ええっと…どれで止まるのっ?!」 パニックになった私が左から二番目にあるレバーを手前におもいっきり引くと、電車が凄いスピードで加速し始めた。 「うぁっ、逆?!」 慌ててレバーを逆に倒したが、時すでに遅し。 私が乗っている車両は空中に投げ出されていた。 「……は…」 私の意識はそこで途絶えた。
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