37人が本棚に入れています
本棚に追加
その場に立ち上がり、もう一度辺りを見渡す。
やはり、他の乗客がいる気配はしない。
私は2車両先の先頭車両まで足早に歩いていった。
なんだか、嫌な感じがする。
首を伝う汗がかなり冷たく感じられる。
「えっ…どうして…。」
先頭車両にたどり着いてまた辺りを見渡した。
だが、やはり乗客は自分以外一人もいなく、私が驚愕したのは言うまでもない。
なぜこの電車は動いているのだろうか、私は段々怖くなってきたが、とりあえず自分自身を落ち着かせまた座席に座った。
ふと窓の外を見てみると知らない山奥。
そして走行方向を見てみると、私の顔はみるみるうちに青ざめていった。
線路がない。ついでにその先は崖になっている。
「う…うそでしょっ?!どうしよう、止めなきゃ…!」
私は青ざめた顔のまま無我夢中で運転席へ座った。
「ええっと…どれで止まるのっ?!」
パニックになった私が左から二番目にあるレバーを手前におもいっきり引くと、電車が凄いスピードで加速し始めた。
「うぁっ、逆?!」
慌ててレバーを逆に倒したが、時すでに遅し。
私が乗っている車両は空中に投げ出されていた。
「……は…」
私の意識はそこで途絶えた。
最初のコメントを投稿しよう!