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「『俺』って……男の子?」
「よく言われます」
「あ~……ごめん」
「慣れてるからいいですよ」
やべ、後でフレッドにも謝らなきゃ。
と、アレクが考えたことなど知らない香乃斗は、笑顔のまま首を振った。
「あの、泣いてた理由なんですけど、実はこの現象が原因で……」
「あ~やっぱり……俺ね、こういうことしそうなやつ、と言うかできそうなやつに心当たりあるんだよね」
「え!?」
「……あのへたれ珍妙猫の仕業としか、思えないんだよねぇ」
「へたれ猫? ……猫神様じゃなくて?」
「何それ?」
香乃斗は腕で円を描くような仕草をして答えた。
「これくらいの大きさで、丸い身体してて、頭に猫耳生えてて、毛、というか髪と尻尾は茶色で、人間の言葉を話す猫の神様です。アレクさん猫神様、知ってるんですか?」
「……ちなみにその話す言葉ってのは、偉そうな口調だったり?」
「はい。でも神様だから偉いのは当然ですよね?」
「……」
黙り込んだアレクは、また別の意味でまじまじと香乃斗を見つめた。
(十中八九、例のへたれ猫っぽいけど、神様呼ばわりするこの子って……)
かつて散々馬鹿にされた経験のあるアレクは、思わず疑惑の眼差しを香乃斗に向けてしまったのだ。
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