9人が本棚に入れています
本棚に追加
ぱたん、と小さな音がして扉が閉まると、アレクは軽く息をついて、それから少し複雑そうな笑みを浮かべた。
「昔みたいにって言われてたけど、一応マイクさんとか他の人の前では序列は通させてね。俺そう言うのちょっとこだわっちゃう質だから」
「いきなりタメ語だった七年前からは成長したってことか」
「まあ、さすがに二十歳超えるしね。その辺はわきまえるよ――どっかの誰かと違うから」
「……あれは、規格外だろ。というか、やっぱり苦労してるな」
「まあね。て、そんな愚痴話をしている場合じゃなかったんだ」
そこでアレクは当初の目的を思い出したようだった。
英語でかわされる会話にきょとんとしていた香乃斗の背を軽く押してやる。
「今日はこの香乃斗君が持ってきた案件でちょっと相談があるんだ。いいかな?」
「ああ、もちろん」
ジェイは頷くと、その長身で大股で部屋を横切り、香乃斗の前に立った。
最初のコメントを投稿しよう!