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「先ほどは間違えてすまなかった。私はジェイだ。よろしく」
そう言ってジェイは右手を香乃斗に差し出す。
きょとんとする香乃斗にそっとアレクが翻訳してやると、香乃斗は慌てて右手を差し出した。
「香乃斗です。よ、よろしくお願いします!」
で、いいんだよな?
と、伺うようにジェイを見上げて、それから香乃斗はぽかんと立ち尽くした。
(うわー、この人男なのにすっごく綺麗な人……)
薄い色のさらさらと金髪に高く通った鼻梁に端正な顔立ち、強い輝きを宿すアイス・グリーンの瞳には深い知性が垣間見える。
香乃斗自身、自分の容姿は恵まれた方だとは思っているが、女性に間違われる自分とはまた違う綺麗さだと思った。
なんというか、男性的な力強さも兼ね備えた上で、綺麗なのだ。
こんな人、生まれて初めて会った。
――と思ってから香乃斗は、ん? と首をかしげた。
あれ、本当に初めてだったっけ?
なんとなく、どこかで会ったような気もするんだけれど……
(や、それはないよな。そんなことより、英語だからよくわからないけど、アレクさんが頼りにしてるみたいだし、きっと頼りになる人なんだ。うん、信じよう!)
きっとこの怪現象も解決してくれるはずだ、と香乃斗はにっこりと笑顔を浮かべた。
するとジェイもつられて、少し笑みを浮かべる。
その笑みに、思わず香乃斗は軽く頬を染めた。
(うっわー! 笑うとますます男前、っていうか絵になる! かっこいい! ……っていうか、さっきまで金田●少年みたいなのを想像してて、ごめんなさい)
と、心の中で何故か無性に謝罪したい気分になったものの、それでも香乃斗は笑みを崩さなかった。
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