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「いってええっ!!! え!? どうして!? 前飼ってた猫はこうしても別に怒らなかったのに!?」
香乃斗の手から逃れ、フーッと毛を逆立てて怒る天照大猫神をあたふたと見下ろしながら香乃斗は思考を巡らせる。
「……ハッ! そうか、猫じゃらしにマタタビが足りなかったからか!?」
その香乃斗の言葉に、天照大猫神の耳がぴくりと動いた。
「そっ……そんにゃものにつられるかあっ」
けれどそのまま脱兎のごとく駆け出してしまう。
「天岩戸ぉ召喚!」
そして珍妙な叫び声を上げた.
すると、血の止まらない腕を抱え込んで痛みに悶えていた香乃斗の目の前に、突然大きな岩山と岩でできた扉が現れた。
「うわっ、なんだこれ!? っていうか、どっから出てきたの!?」
と思いつつも、突然現れた天岩戸を前に、
(漫画の世界じゃあるまいし……とは思うけど、魔法みたいでかっこいい……!!)
香乃斗は思わず腕の痛みさえ忘れ、予想外の展開に胸が震わせてしまった。
「思い知れっ」
岩山にぽっかりと空いた洞窟の中に逃げ込んだ天照大猫神はそう言うと、一体どんな力でか、その岩戸をぴしゃりと閉めて引き籠もってしまった。
それとほぼ同時に、まるで闇が、降ってきたかのように周囲を覆い尽くし、真っ暗になってしまう。
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