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「姉上は一度こもられたら出ていただくのに凄く苦労するんですよ! 中、快適に改造しちゃってますから」
「ええええっ!? お、俺のせいっ!?」
「に、決まってるでしょう! どうせ姉上がいやがることしたんじゃないんですか? 毛を逆撫でしたとか――もう、姉上がお出ましくださらないとずっと暗いままですよ。どうしてくれるんですかっ」
やっぱり!?
と、この異常事態が自らの原因であることを、現れた月読と名乗る彼によって確定された香乃斗は思わず顔を青ざめた。
「ど、どどど、どうしよう! ……ねえ!? どうしたら出てくる!? えっと、猫神、様……だから、猫でいいんだよね? 猫だったら……」
香乃斗は必死で焦りながらも思い出す。
猫にとって何が機嫌を良くするか。
「高級猫缶? でも猫神様の好きなキャットフードの種類なんて知らないし……セレブとかで流行りの猫服? あ、でも元々白い服みたいなの着てるしどうだろう? うーん、うーん……あ! アクセサリーとか!?」
ピアスとかネックレスとか……首輪とか!?
と、考えて、香乃斗は首を振った。
……駄目だ。それで喜ぶのは人間の女の子であって猫じゃない。
「まあ、それはそれで出てきたら凄いよな……あああ~~~! もう、何がいいんだよ!? どうしよう! 本当に、どうすればいいんだ!?」
突如として訪れた異常事態、むしろ彼にとっては珍しくもない【非日常】の一環か。
けれど、今まで経験した以上に難易度の高そうな状況に、香乃斗は今までにないくらい――焦っていた。
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