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「あああ、もう、俺じゃわかんない! 誰か助けを呼ばなくちゃああ!!」
香乃斗は叫び声を上げると、宣言のごとく助けを呼ぶべく駆け出した。
――その時の彼に目的地なんてあるわけもなく、宛もあるわけではなかった。
けれど、どうしてか、どこかにたどり着けるような気がしていた。
この、不思議な暗闇の中ならば。
💠 💠 💠
一方、香乃斗が去った後の天岩戸では――
「姉上…いい加減にしてください。あまりに姉上が籠もるから、ウズメ嬢に辞表渡されたんですよ。これ以上踊ってたら膝が悪くなるからって……私がまだ預かってますけど」
「……」
「姉上?」
「……うるしゃいとっととどっかいね」
「ちょっ……姉上」
これはいつも以上に機嫌が悪いなあと、月読は頭をかいた。
「……まったく、こんな事態引き起こした張本人はどこに行ったんだか……」
ぽつりと呟くと、香乃斗のいなくなった方をじっと眺めるのでした。
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