ある夜の出来事。【齢十二】

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ぐぅ~… 「あ。」 静寂に間の抜けた音が響く。声の主から察するに腹の虫。 「きさま…飯を食ってないのか…?」 「ははは。いつくるかわからんから待っていたら昼も晩も食い損ねたようだ。」 からからと笑う家康。 三成はそれを驚きと呆れの表情で見つめた後、 「……来い。」 「三成?」 部屋を後にした。 昼間とは違い、廊下は薄暗い。便りは月明かりのみだが、三成はすたすたと進む。それだけ三成がこの時間に出歩いているということであり、同時に陽の当たる時刻には歩いていないという証明でもあった。 家康は、そこまで深く考えてはいなかったが、三成が日焼けをしない理由がわかったような気がしていた。 「ここは…」 そこは台所。家康が呆けている間、三成は水桶から水を汲み、残り火にかけて湯を沸かす。 「いいのか?勝手に…」 「余り飯だから構わないと教えて頂いた。だから…足りない時たまに来る。」 沸騰する湯を見ながらたんたんと事実を述べた。
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