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ぐぅ~…
「あ。」
静寂に間の抜けた音が響く。声の主から察するに腹の虫。
「きさま…飯を食ってないのか…?」
「ははは。いつくるかわからんから待っていたら昼も晩も食い損ねたようだ。」
からからと笑う家康。
三成はそれを驚きと呆れの表情で見つめた後、
「……来い。」
「三成?」
部屋を後にした。
昼間とは違い、廊下は薄暗い。便りは月明かりのみだが、三成はすたすたと進む。それだけ三成がこの時間に出歩いているということであり、同時に陽の当たる時刻には歩いていないという証明でもあった。
家康は、そこまで深く考えてはいなかったが、三成が日焼けをしない理由がわかったような気がしていた。
「ここは…」
そこは台所。家康が呆けている間、三成は水桶から水を汲み、残り火にかけて湯を沸かす。
「いいのか?勝手に…」
「余り飯だから構わないと教えて頂いた。だから…足りない時たまに来る。」
沸騰する湯を見ながらたんたんと事実を述べた。
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