ある夜の出来事。【齢十二】

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途端、家康は笑い出した。 「なっ何がおかしい!」 「だって三成、意外と行動派だなと思って。普段コソコソしてるヤツとは思えん。」 涙を拭いながらのその言葉に三成は怒りが込み上げる。 しかしそれを押し殺し、「うるさい」の一言で片付けた。 そして茶碗に冷飯を盛り、湯をかける。 「ん。」 それを差し出すとまたも爆笑する家康。 「なっ」 「おまえはいい嫁になれそうだ!」 「き…さま。要らないなら棄てるぞ!」 「わーっ冗談だ冗談!もちろん貰う!」 そんなやりとりをした後、二人で縁側に座ってさらさらと飯を食べ始める。 「…おまえの主は誰なんだ?」 「…なぜだ?普通は織田だと思うだろう。」 いきなりの質問ではあったが、三成は逆に質問で返した。 「この前、『あの方たち』と言った。信長と並ぶものはいないだろ?それに…魔王をそこまで信頼出来ると思えん。」 顔には出さなかったが、三成は家康の鋭さに少しばかり驚いた。
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