ある夜の出来事。【齢十二】

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「誰かは言わん。…ただ、大切な人たちなんだ。…命に代えても守るべき、俺の生きる希望。」 「…矛盾してないか?まぁでも、そこまで思われてみたいものだな。」 「きさまにはいないのか?」 最後の一口を流し込み、問う。 「これから沢山作る。…三成、おまえが最初だ。」 月明かりに照らされ、それは眩しすぎた。 「…ばか、か。」 眼が眩む。 「おまえの為に、命をかける。わしは…おまえが好きだ。」 目眩がする。 「口先だけの言葉などいらん。出来もしないことを口に出すな。」 「本当だ!おまえの傍にいたい!…すぐに、消えてしまいそうなんだ、三成は。」 真っ直ぐな言葉が邪魔をする。己の生き方を否定する。
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