ある夜の出来事。【齢十二】

9/11
前へ
/118ページ
次へ
惑わされるな、惑わされるな。 甘い言葉に引き裂かれる。身を抉られる。いずれその言葉が嘘になるのであれば口を閉じろ。 「俺は…」 きさまのように、真っ直ぐで、純粋で、眩しいような生き方は出来ないから。 「…三成?」 「家康。」 何年経っても癒えぬ傷痕。 ならばせめて忘れるしかないんだ。 受ける愛など脆すぎる。口にするから壊れて行く。 「……裏切るな。許さんからな。」 「……当たり前だろう。」  
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加