193人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ…はぁ……」
これが最後の犠牲だと覚悟を決めた。
それでも、この乱戦の世には些か優しすぎる心はズタズタに引き裂かれ、眼からは涙が溢れていた。
「皆、すまん……っ」
最低限の犠牲で済んでいると言えども、戦では必ず命は幾らかは散っていく。
それが、最初から『こちら側が多くなる』と解っていても。
それが自分の身勝手な理由であり、その為の犠牲であると解っていても。
そして今、それを眼前で巻き起こる現実として受け入れ、家康は走る。
想いを、夢を、現実にする為に。
最初のコメントを投稿しよう!