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乾いた音が響く。
襖を開けるとそこには…
「やぁ、遅かったね。」
「…竹中、半兵衛。」
部屋の中心に座り、穏やかな笑みを自分に向ける半兵衛がいた。
「君の事だから『作戦の為に散ってくれた仲間』達に弔いでもしながら来たのかい?…随分と悠長な総大将だね、君は。」
全て見透かされている。…わかっていたこと。常に数年先を見越して動いているこの男には、自らの浅はかな考えなどお見通しであることくらいは自分でも理解している。
それでも、自分は、ここにいる。
「おや、少し凛々しくなったんじゃないかい?そうか…じゃあ、」
すく、と立ち上がり背を向けて反対側の襖に手をかける。
それは余りにも無防備な行動ではあるが今手を出した所で何が変わる訳でもないだろう。
いや、…それだけではない。
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