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少し、期待をしていた…のかもしれない。
「…懐かしい再会、といこうか。」
するりと、特に音もたてずに開かれた先。
常闇に何かが立っていた。
「じゃあ…頼むよ。『後片付け』は何時も通り周りに任せて構わないから。」
死後の対応を告げて闇に消える半兵衛。入れ換えに、月明かりに照らされた部屋に踏み込む足音。
それは、半兵衛が長年隠し、従順な『兵器』として育て上げた努力の賜物。
「…っ」
その顔が月光に照らされる。
人を蔑むような、見下したような眼。
しかし家康は知っていた。その氷のような眼の中に、暖かい炎が宿っているのを。
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