家康、豊臣軍へ。【齢十八】

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何故か、言葉が出なかった。 3年とは、これ程にも長いのかと、改めて感じた。 しかし、家康が懐かしさに心に少し暖かみが増すのを感じるのと反対に、 三成は『何も感じていなかった』。 それは言葉通り。別に記憶が無くなった訳では無い。ただ、目の前の男に興味がないだけだ。 顔にはもう、あどけない子供っぽさは無く、淡麗な大人のそれに成長していた。 それだけでなく、心にも、少なからずあった『子供らしい部分』は無くなってしまっていた。 それは、それだけの壮絶な日々を物語っている事にも同意だった。 裏付けるように、この2年程比較的安暖と暮らして来た家康は、未だ幼さが残っている。 「…三成。久しぶりだな。元気…だったか?あれからお前…」 ここが戦場だと言うことも忘れ、笑みを溢してしまう程、家康は未だ大人になれてはいなかった。 刹那。 影が延びた。目の前を流れる黒い線。 「三…」 三成は何かを引き抜いた格好をしている。 そして、それが一閃された刀だと気付くのに暫くかかった。 「黙れ…もう、餓鬼の戯謔は終いだ。」 左手に持つ黒い鞘に同じ色を叩き入れる様に収め、冷たく言い放つ。
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