ボクの景色

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ボクの景色

 ―――退屈な学校。  ボクはノートにひたすらこんぺいとうを描いていた。絵は下手だから出来損ないの星マークにしか見えないかもしれないけど、これはこんぺいとうだ。  ボクの大好きなこんぺいとうを、真っ白なノートにたくさん描く。もう描けなくなるくらいこんぺいとうがたくさん出来たら、ページをめくる。そしてまたこんぺいとうを描く。たくさん描く。たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん描く。  ―――ふと顔を上げると、殺風景な教室が目に入る。教卓の上には髪の長い市松人形が立っている。  周りを見渡すと、ボクのを合わせて40の机と椅子が黒板を向いて並べられていて、その椅子のすべてに市松人形が座っている。机にはそれぞれノートや教科書が広げられている。  いつもの退屈な光景だ。  ボクはまたノートにこんぺいとうを描く。
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