何も知らない

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 自分が何を感じているのかわからなかった。 何かを感じているのに、それが何なのかわからない。 「……知っていたの?」 「異母兄弟だってこと? あたり前じゃない」 「そうじゃなくて……拓也の、私達の任務のこと」 拓也、と呼ぶのに抵抗があった。 「任務……ね。拓也があなたにお金を渡していたことなら知っている」 「どうして……なんでわざわざそんなことをしなければならなかったの? お金を渡すだけなら、直接渡せばよかったじゃない」 「素性を隠さなければならない理由が、拓也にはあったのよ。元々、あなたに接触する気もなかった」 それはピヨ彦の口から聞いた。 自分が義父の医療費を払おうと犯罪を犯したから、仕方なく接触したのだと。 「……素性を隠さなければならない理由って?」 「それを説明するには、まずあなたの父親のことから話さなければならない」  
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