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「パワーが――」
そう言って祖父も後ろを振り向いたが、言葉はそこで切られた。
祖父が最後尾で、その後ろには誰もいなかった。
前方に向き直ると、祖父以外の家族全員が、祖父を見詰めていた。
皆が申し合わせたように、神妙な顔付きで頷く。
祖父は僅かな狼狽を見せたあとで、勢い良く立ち上がった。
白髪の坊主頭で、雨合羽のような紺色のビニール素材の服を着ている。
「よぉし!ワシに任せておけ!」
「おじぃ!早く!」
ケンジが言って家族全員がまた頷くと、祖父は木造平屋建ての家を飛び出していった。
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