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カウントダウンを表す赤いデジタルタイマーは、残り三十分を示していた。
刻一刻と、時を刻んでいる。
家族全員に、焦りの色が浮かび始める。
それが残り十分になったところで、苛立ちを表すように、ケンジが叫んだ。
「おじぃはまだかっ!?」
その質問に答える者は誰もいない。
叫びは反響することなく消えうせ、辺りに沈黙と重圧が蔓延した。
『もうダメだ……』
絶望が心を支配し始めたその時、ブーン、という微かな音が、耳に届いた。
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