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いよいよ祖父の操縦する飛行機が目の前まで迫ってきた時、家族全員が四方八方に飛び散った。
悲鳴が、あちらこちらに飛び交う。
同時に、飛行機が家屋に突っ込んだ。
バキバキと凄まじい音を立て、家を半壊させる。
砂埃が舞い、それが収まってきた頃、瓦礫を押し上げ、祖父が操縦席から顔を出した。
「いや~すまんすまん。何しろ操縦は五十年振りじゃけぇ。これでも太平洋戦争の時は、飛行戦隊の赤い稲妻と――」
「そんなことより、早く!」
祖父の嘘か本当かもわからない武勇伝を遮り、ケンジが叫ぶ。
祖父は『そうじゃった』という顔をし、操縦席から下りた。
「これじゃあ宇宙人に侵略される前に、おじぃに殺されちゃうよ」
何とか被害を免れた家族の中から、チコがポツリと呟いた。
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