3.ゆらぎ

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 服を着て寝た筈なのに真っ裸で起きた自分と、横には服を着ていない林丁重。  ええ? と顔を上げた唯の視界に林のジャケットと小さな箱、そして隅に転がったティッシュの塊が飛び込んできた。  ――あれ……アレ?  ぞくり、と寒気がした。  裸の男女、傍らには避妊具……しかも……。  唯は身を乗り出し、開封された袋が二枚あるのを確認した。 「……!」  つい叫び出しそうになった口を、寸前で塞ぐ。  まさか、まさか、まさか!?  呼吸が荒くなっていた。  目を見開いたまま、何故か周りをきょろきょろと見回す。
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